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素敵な文を書く

アイルランドに留学していたころ1ヶ月バックパッカーでヨーロッパを周りました。宿も決めずユーレイルパス(だったかな?)を片手に7カ国を訪れました。今になってみれば良くやったなと思います。各国のユースホステルに寝泊りし観光してました。イタリアではアイルランドで友達になった友人宅へお邪魔するためにトリエステへ。トリエステはイタリアの北にありスロベニアとの国境に位置しています。オーストリアに支配されていた時代もあり、影響を受けた建造物もあります。とにかく坂が多い街。友人の家へ行くときにバスに乗ったけど坂の途中で終点になってしまい、どうするかと思えば友人は通る車に向かって親指を立ててました。そう、ヒッチハイクだったのです。初めてのことにビックリしたけど乗せてくださった方も私が日本人と分かると大歓迎してくださいました。あぁ、懐かしい...。

その友人が連れて行ってくれたのがカフェサンマルコ。イタリアの詩人、ウンベルト・サバが通ったという老舗のカフェです。そこでお茶をしているとお店の方が話しかけてきました。”Giapponese?" 「日本人?」と聞かれたので"Si. Perche?" 「そうです。どうしてですか?」と聞いてみると日本の雑誌を持ってまた戻ってきました。カフェサンマルコが載っている雑誌で、そこで知ったのが素敵な文を書く作家さん、須賀敦子さん。先日NHKで番組がありました。彼女の時代にしたら珍しい留学をし、国際結婚をされた女性です。須賀さんの結婚の事は地元の新聞にも載ったくらい、それも珍しい時代だったんでしょうね。結婚後はミラノに住まれ、書店に勤務しながら日本文学を翻訳してイタリアに紹介した経歴をお持ちです。帰国してから彼女の「トリエステの坂道」を読み大好きになってしまいました。最初は行った事のある場所だから親しみがあるのかと思っていたのですが、彼女のほかの本を読んでみたら行ったこともないのに引き込まれ、その文の美しさに惹かれていきました。その後彼女が特集された本のバックナンバーを取り寄せ、彼女の本や全集を買い何回も読んでいます。旅行に行くときのお供も彼女の本です。何回読んでも色あせず、発見があり本当に素敵な作家さんです。たくさん出版されているのですが、50台半ばから作家として世に出た方です。残念ながら亡くなられているので新刊は出ませんが、これからも私の愛読書であり続けるでしょう。
by kanakina | 2010-03-10 14:02 | Books
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